「ろ過」の原理は、自然界の仕組みをヒントにして作られたことを知っていますか?雨水を「ろ過」し、土中に貯水する、自然界の水道施設とも言える森の秘密を解き明かしましょう。
森が水をきれいにする力
森に降った雨は植物の葉の上で水滴となって雨上がりに蒸発したり、土に染みこんで木の養分になったりします。一方で森の土に落ちた水は、砂や土・岩で「ろ過」されてどんどんきれいになりながら、地中へと浸み込んでいきます。この際に、「ろ過」だけではなく、栄養豊富なミネラルが水に溶けだすこともあります。
森の地中できれいになった水の一部は、雨水などと混じりあいながら川に流れこみます。皆さんが実験で作った「ろ過」装置は、森のしくみをペットボトルの中で再現しているのです。
森が水をためる力
森の中に足を踏み入れると、学校のグラウンドとは違って、土がクッションのようにやわらかく感じることがあります。森の土の中には、小さな虫や、目には見えない微生物がたくさん住んでいます。土の中で生き物たちが動きまわることで、土も一緒に動かされ隙間ができたり、微生物の働きにより落ち葉や枯れ枝が分解されたりすることで、やわらかな土ができあがるのです。
そんな森のふかふかな土は、水をたくさん貯めることができます。森の土に貯められた水は時間をかけてゆっくりと川に流れていき、川の水の量を調節する役割もしてくれているので、もし大雨が降っても、土が水をたくさん吸い込むことにより、洪水を防いでくれます。反対に、雨が全く降らないときでも、土の中に貯められていた雨水はゆっくりと流れていくので、川が干上がるのを防いでくれるのです。
このように、森は雨水をためこみ、洪水や川の干上がりを防ぐ働きをしているので、森は「緑のダム」とも呼ばれています。
森と上下水道局
「森が水をきれいにしてくれるなら、そのまま飲めるんじゃないの?」と思われるかもしれません。実は、森が雨水をろ過しても、目には見えない細かい汚れが残っていたり、森を出た後に汚れたりするので、そのまま飲むことはできません。それに、森は水を貯めることはできますが、人の生活に合わせて水の量を増やしたり減らしたりしてくれるわけではないのです。みなさんのご家庭の蛇口から、みなさんが水を使いたいとき(お風呂や朝起きたときなど)に、使いたい分の水を出せるようにするために、上下水道局では日々頑張っているのです。